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新オープニング映像 絵コンテ担当 鶴巻和哉さんロングインタビュー

新オープニング映像 絵コンテ担当 鶴巻和哉さんロングインタビュー

――鶴巻さんは、第2期オープニングを手がけられているわけですけども、実がそれ以前から、シリーズ構成の榎戸洋司さんからいろいろと相談を受けていたそうですね。

「相談というか"次はこんな作品をやりたいんだ"って話は聞いていて。『トップをねらえ2!』の終わり頃かな。"宇宙少年ものがやりたい"って言ってたんですよ。それを聞いたとき、僕は『キャプテン・フューチャー』の少年版みたいな感じなのかなって思ってたんですけど、榎戸さんは『コメットさん』の男の子版みたいなのを考えてたのかな。それがまさに『STAR DRIVER』に結実してると思うんですね。つまり"宇宙少年"というキーワードが何を表わしてるかというと、ある種の健全さというか、主人公がウジウジと悩んだりしない。全面的に前向きな――それこそ『宇宙少年ソラン』のような"宇宙少年"という響きが、マンガやアニメにふさわしかった時代、そういう時代の主人公たちの感覚を持ち込みたかったんじゃないかな、と」

――ロボットアニメでいえば『機動戦士ガンダム』以前の感覚というか。

「そうですね。おそらく『STAR DRIVER』には『ガンダム』以前の感覚があると思うんです。僕たちがあまりに『ガンダム』に馴らされすぎていて(笑)、それ以前の歴史があったことを忘れている。稲作以前でも人間は生きていたわけで、狩猟生活をしていた時代が何万年もあったんです。それはそれで、劣っているわけではない。そういう感覚があるのかな」

――今の時代に正面切ってロボットアニメをやるのは、なかなかに大変だと思うんですけども、『新劇場版ヱヴァンゲリオン』を監督されてる鶴巻さんとしては、いかがですか?

「これは榎戸さんがおっしゃってたんですけど、『機動戦士ガンダム』にしろ『新世紀エヴァンゲリオン』にしろ、敵にも魅力があるんだ、と。『ガンダム』のジオン公国やシャアは、ガンダムやアムロよりもよほど人気がある。『エヴァンゲリオン』にしても、使徒という敵にはどれだけ面白いアイデアを注ぎ込めるかで苦心していたわけだし、なによりビジュアルとして面白い。時代を作るロボットアニメにはそういう、敵を主人公よりも魅力的に描く、っていうのも重要なんじゃないか……という話をしてて。実際に『STAR DRIVER』を観ると、そこは相当気を使ってやってるなって思うんですね。主人公よりも敵たちの方に、サイバディに乗らなければならない切実なドラマがある(笑)」

――綺羅星十字団をどれだけ面白く描けるか、という。

「これから先は、主人公側のドラマが描かれることになるんだろうと思いますけど、ひとまず前半はそう見えますね。綺羅星十字団の人たちの方こそ、よほどサイバディに乗せてあげたい! って思っちゃう(笑)」

――それは、鶴巻さんがベニオを好きすぎるからだと思いますけど(笑)。

「何でわかっちゃうんですか? まあ、たしかにそうなんですけど。あと、保健の先生(ミドリ)もいいですよね(笑)」

――あはは(笑)。前置きが長くなってしまったんですけども、実際のオープニングの内容について伺いますね。まず誰もが疑問に思うところなんですが、冒頭を第1期のオープニングと同じ始まり方にしたのは、どういった意図なんでしょうか。

「僕は、第1期のオープニングが大好きなんです。近年のアニメの中でも最高傑作の一つ、とさえ思っています。オープニングとしてはちょっと特殊だけど、本当にカッコいい。なので、ああいうものを作れと言われていたら、正直困ってしまっただろうけど(笑)。五十嵐監督からは2期は"ベタなロボットアニメのオープニングでお願いします"というオーダーだったんです」

――なるほど。この王道感は、監督からのオーダーだったわけですね。

「で、ボンズ作品のオープニングを、スタジオカラー(※『新劇場版ヱヴァンゲリオン』シリーズを制作)として受けるということもあって、『機動武闘伝Gガンダム』のオープニングを観直したんです」

――それはまたなぜ?

「『Gガンダム』って南(雅彦/ボンズの代表取締役)さんがプロデューサーをやられていて、庵野(秀明/『新劇場版ヱヴァンゲリオン』総監督)さんがオープニングのコンテを切ってるんですね」

――あはは!(笑)

「で、『Gガンダム』の第2期オープニングって、第1期のオープニングの素材を別の素材と組み合わせて、再構成してるカットがあるんですよ。そういうことなのかなあ、と(笑)」

――えええええ!(笑)

「第1期オープニングの素材を使って、別のシークエンスにしちゃう、みたいなことができないかなあ、と。結局、いろいろ考えた挙句、頭だけ一緒にするっていう構成になっちゃったんですけど」

――なるほど。で、オープニング本編は、キャラクターのドラマや作品のテーマをぐいぐい押し出すような構成になってますね。

「そうですね。僕の印象にあるサンライズのロボットアニメっぽい感じですね。キャラクターのドラマ性や感情を過剰なくらいぐいぐい出してくる」

――特に、ミズノとマリノ姉妹のカットは、この後の展開を予感させるような演出になっていて。

「あそこはちょっとやりすぎかな、と思って一応、監督に確認しました。でも、オープニングが切り替わって、比較的早い段階で明らかになっちゃうので、大丈夫ですよとおっしゃっていただいて。僕は『STAR DRIVER』の最初から参加していたわけではないんで、いざ、オープニングやろうとすると、わからないことが多いんですね。だから脚本を全部読ませていただいて、世界観を把握して……。しかも『STAR DRIVER』の場合は、後半になって明らかになるネタがいくつかあって、しかもそれがドラマの重要な鍵になってくる。だからあんまりネタバレもできないし……っていう。そういう難しさは確かにありました」

――ネタバレということでいえば、戦闘シーンでタウバーンが戦っているサイバディ。あれは、ヘッドが乗り込んでいるレシュバルなわけですけど、オープニングで見たこともない機体が戦っているという(笑)。

「あれに関しても、五十嵐監督に相談しましたね。タウバーンと対になるサイバディだという話を伺ったので"出してもいいですか?"と」

――なるほど。あとその直後に登場する巨大サイバディも、まだ本編中には出てきてないサイバディですよね。

「勘のいい人ならわかると思うんですけど……。。でもまあ、よく考えたら『Gガンダム』だって、最初はデビルガンダムなんて影も形もないのに、オープニングには出てくるわけですからね。ロボット物のお約束だっていうことで(笑)。あと本当は、電気柩を出したかったんですけどね……」

――というのは?

「電気柩は3DCGじゃないですか。だから、いろいろ面白いことができそうだなって考えてたんですけども……」

――第17話で爆破されてしまった(笑)。

「脚本を読ませてもらったらすぐに"出てこなくなっちゃうじゃん!"って(笑)。あとはゼロ時間も苦労しました。まわりに何もないから、サイバディがアクションしても、仮面ライダー同士が戦ってるのと、あまり変わらないというか。普通なら、手前のビルをなめて……みたいなことができるんですけど、ロボットアニメのお約束のアングルが使えないんですよ」

――いやいや、迫力のあるロボットアクションになってたと思います。では最後に、作り終えてみて、ご自身としてはいかがですか?

「そうですね、五十嵐監督に"副部長を絶対に出して!"と言われたので、大事なところに出してます(笑)。実は最初は"いくらなんでもキツネはないでしょ!"と思ってたんですよ(笑)。でも、あとで『星の王子さま』が元ネタだって話を聞いて、なるほどね、と。『エヴァンゲリオン』にだってペンペンは出てくるわけで、そういうのもロボットアニメに必要なところなんだろうな、とあらためて思いましたね(笑)」